vol.2 自由設計とは 設計者の役割
4月に入り新年度が始まりましたね🌸
(前回はこちら)𓂃𖠚ᐝ
【家づくり】住宅設計の続きのお話をしたいと思います。
新築を計画する際、敷地が決まれば建物を計画していく段階に入ります。プランを考える上で、理想とする内容を具現化していく設計者(技術者)が必要になります。
設計者はプランを考えるだけでなく、確認申請を申請する役割、着工から竣工まで工事の品質や工程を確認、設計図書どおりに進められているかの確認、工事完了時には完了検査を担う役割を果たします。
(住宅を建てる際には、建築基準法において確認申請が必要になります。申請機関に建築物の設計図書を申請し、許可を得た建築物のみが建築できます。この確認申請を申請するのに必要な資格が建築士です。)
新築計画|ハウスメーカー・設計事務所・工務店
設計者を選択する際、設計事務所、ハウスメーカー、工務店の選択肢があります。それぞれに特徴があります。
設計事務所はプランを提案するところから始まり、計画を具現化するための設計・工事費の予算調整・施工監理が主な役割です。施主の代理人となります。
ハウスメーカーは、規格化された総合住宅会社でメーカーそれぞれに得意分野があります。営業担当(展示場/パンフレット)、設計担当と分業されていることが特徴です。
工務店は、住宅も建てる「地域の建築業者」さんといったイメージでしょうか。
土地を契約後に売主不動産の紹介の工務店やハウスメーカーに建物プランをお願いしたけれど、「思っていたものとは違う」、
【提案されたプランや間取りが望んでいたもの、想い描いている図面とは違う!】という話を私のまわりでよく聞きます。
紹介による工務店が1社の場合、その工務店の設計・施工にゆだねることになってしまいます。
工事見積りが一社では比較になりません。
設計事務所の場合は、設計士とつくりあげた図面を複数の建築業者に競わせることで、コスト面と技術面を含めて選定することができます。
ご自身の敷地にこれからスタートする大切な生活の基盤を計画されるのに、納得がいかないまま進めるのはもったいないです。
この際妥協せず、別の設計者に依頼するのも一つの選択肢かと思います。
条件付き土地とは?
特に条件付き土地(*建築条件付き土地)で納得のいかないプランのまま、進めてしまうといったパターンが多いと思います。
ご自身の「ライフスタイルの理想」をイメージしプランを計画していくことは、『家づくり(注文住宅)』の極意でしょうし、時間をかけて決めていきたいところです。
それなのに、急かされ、焦って契約してしまったというお話はとても残念です。
建築条件付き土地ですが、本来は縛りなどないものです。建築条件付きの土地であっても、土地だけで購入することも可能ではあります。(販売会社側で特別な事情がある場合は別ですが)
納得のいかないプランを提供する工務店やハウスメーカーと契約をしなければならないという理由はありません。
*建築条件付き土地→「条件」のある土地のこと。土地の購入条件として「ここに家を建てる場合、決められた施工会社に依頼して家を建てる契約を結ぶこと」といった条件があります。
その敷地でどうしても自由に決めたい場合は、土地を購入前提で「ほかで設計/施工を依頼したいので」という意向を示し、交渉をしてみるべきでしょう。購入前に交渉をしなければなりません。
但し、販売会社さんが建築費用の利益をのせていることが多いので、購入時にその分少し土地の値段があがることもあります。
土地契約後、短い期間でいろいろと決めなければならない、自由も効かないのでは「せっかく注文住宅を建てようとしているのに」と不満が積もります。
また、指定された工務店さんやハウスメーカーの場合、理想の間取りや家族構成、ライフスタイルを熱心にお話ししても、規格プラン(決まったパターン)しかご提案いただけない可能性があります。
『家づくり』は「敷地の条件」「良い設計者」「施工」の3つがベストで初めて良いものがつくれると思います。
ライフスタイルを形成する「住宅」にとって『良い設計であること』はとても大切です。
1.家づくり| 敷地の確認
設計事務所(建築家事務所)がお施主様と住宅をつくっていく工程(フロー)をお話ししていきます。
先ず、計画地の確認⇒
隣地との敷地確定の確認や現況確認(電柱の位置 排水関係、隣地との高低差)必要であれば役所に確認事項をチェックします。
前面道路の条件や、地盤調査(近隣データ)など。
2.家づくり|お打ち合わせ・プランのご提案(プレゼンテーション)
「どんなものを建てたいのか」
お施主様のライフスタイル、意向を確認するためお打ち合わせの時間をいただきます。『どんなものを建てたいのか』…。なんとなくのイメージでも良いですし、この時点で確定していなくても構いません。
『これは絶対!!!』というものはもちろん、ふわっと浮かんだ理想や想いをお聞かせいただけると具現化していくアイデアの一部になります。
お話していく中で、お施主様側で新たな想いやアイデアが思い浮かぶかもしれません。
(敷地に対して)ご希望とする条件や内容が難しい場合もあります。コスト面で妥協しなければいけない部分も出てくるかもしれません。
→ 「どのように何を生かすのか」検討していくことが設計者の腕の見せ所です。
設計者はプロですので、お話をお聞きしながら建築主がイメージされている内容をプランに落とし込んでいくでしょう。
この時になぜトラブルが起きやすいのか。大切な部分でもあるヒアリングを、ハウスメーカーさんの場合は実際に設計をする設計者ではなく、営業担当の方がヒアリングすることが原因かもしれません。
実際に私の友人が新築を計画時、土地契約後に大手ハウスメーカーさんにプランを依頼したところ、彼女の頭の中にある「理想」とはかけ離れたプランが出てきたそうです。
理想を集めた分厚い資料やイメージを持参し、熱意を込めて2時間近くお話したのに、想いとは「ずれ」のあるプランが出てきたことに対して「あの時間と労力は!!」と失望していました。
彼女の想いは読み取ってもらえていなかったんだと思います。(彼女はその後、二度と行くことはありませんでした。)
このハウスメーカーの担当さんがすべて悪いとは思いませんが、「営業さんが聞いた内容を設計者さんが描く」という分業が原因だったのでしょう。
最大手ハウスメーカーさんでも起こりうることです。理想とするイメージを明確に持っていらっしゃる方は初めから設計事務所(建築家)にご依頼されるのが良いかもしれません。
ハウスメーカーさんの場合、売れ筋を研究し似たものをつくっていく傾向にはあるでしょう。(数年後にその建物が売れ筋なのかはわかりませんが…)
本来、自由設計とは「一人ひとりのライフスタイルに合わせたもの」を提案していくことだと思います。
~次回は、基本設計~のところからお話ししたいと思います。~