建築現場の裏側のおはなし

お盆ですね。つい先日、京都の大谷本廟(浄土真宗 西本願寺)にて、短い法話の中で教えていただいたのですが、「お盆」というのは、インドのサンスクリット語が語源なんですね。「盂蘭盆会」は、サンスクリット語のウラバンナが由来。浄土真宗では、ご先祖様がお盆の時期に帰ってくる という考え方はなく、歓喜盆として捉えます。お盆は家族で賑やかに過ごしたいですね。

さて、今日は「建築現場の裏側と建築ve案について」すこしお話したいと思います。

設計者は施主と計画の打ち合わせを重ね、基本設計が決まれば実施設計図を進め… ここまでとても大切な過程ですが、ここからが正念場です。

図面が完成すれば一段落… ではなく、ここから更に設計者の大事な仕事があります。

工事業者の見積もりチェック(抜けている箇所がないか、妥当な金額か等の確認)、施主と共に工事請負業者の選定をすることも重要な役割ですし、着工すれば、さまざまな問題が出てきて都度対処していかねばなりません。

図面が仕上がれば、あとは工事業者にバトンタッチ、現場にろくに見にも来ない設計者は信用できません。(そもそもそのようなことはないはずですが)

現場をしっかり見ることのできる設計者が良い設計者とも言えるくらいです。(現場を怠る設計者は、結局は自身で完成することが出来ないわけです。)

案件にもよりますが、着工中のプロジェクトでは、週に一度定例会が実施され、図面どおりに仕上がっているか、工程どおりの進捗か、実際に仕上げていく過程での設備との取り合いやおさまりなどを確認します。

特に住宅設計の場合は、設計者のエゴではなく施主のご意向が大切なので着工後も段階的に施主に現場にお越しいただき、お互い確認する過程が大事です。(この段階であれば直せる、ということがあります。)

週に一度の現場監理でも、現場は質問が山積みになるので、一つひとつ対処していくわけです。

実施設計図書は、実際に工事をするための図面ではないのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、完璧な実施図面が手元にあっても設計者が現場で設計監理をしっかり行わない限り、最初に計画したものは完成しない!と言っても過言ではありません。

実施設計図書のみで、クライアント側で工務店で内装施工したがイメージと違う意匠になってしまった!ということは、よくあります。これは、施工する側が、自分たちの解釈で施工を進めることが原因で起こります。

意匠面の問題であれば、まだ致命的ではありませんが、それが命に関わることであればあってはいけないことです。

以前、実際に起こったことですが、地上7階建ほどの分譲マンションの新築設計時、クライアントが大手ゼネコンで、最終、監理は自社で行うということでした。(一級建築士も数名所属していらっしゃって設計部も自社で持っていらっしゃるので) 無事に建物が完成したまでは良かったのですが、販売後に地下を持つメゾネットの地下部分の壁から漏水があり、依頼され確認しにいったところ、躯体の防水が甘かったが故に漏水がおこったであろう事実が判明。

現場の作業の負担を少しでも軽くするために、自社のみで工事を進めた結果でした。 設計者が、最後まで監理をしていればこのようなことはおこらなかったわけです。

この建物の瑕疵部分は、根本的な部分を治すことで完治し、大きな怪我や被害には至らず良かったです。

このようなことは、意外にも各所で起こっているわけです。

現場は、しっかり設計者が最後までみること、妥協せず施主代理となり進めること、が如何に大切かをお伝えできれば幸いです。

今日は「建築ve案について」もお話しようと思いましたが、次回「住宅設計」の続きと併せて書きたいと思います。

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  1. leebroom
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