「家を建てる」vol.4 施主のための図面

「家を建てる」vol.3 の続きのお話をしたいと思います。多くの人にとって、「ご自身の家を持つ」ことを検討される際、いろいろ悩まれると思います。将来のこと、現在の生活スタイル、理想の間取りや暮らし方。ワーク・ライフ・バランス、趣味etc… お子さんがいらっしゃる方はお子さんとの生活スタイル、ペットと同居される方はペットのための快適な家…。思い描くと夢はどんどん膨らみますね!

もし「家を建てる」ことがすでに決まっていて、新築計画に悩んでいらっしゃる方の、何か一つでも参考になれば良いなと思います。

設計費用は?どう違うの?

vol.1~vol.3まで、設計事務所について、設計者の役割や家を建てる場合の設計フローをお話ししてきました。

ここで少し、建築に必要な設計費用とその内容についてお話したいと思います。工務店、ハウスメーカー、設計事務所(建築家アトリエ)で検討した際、建築家に直接依頼するとお高いイメージがあるかもしれませんね。

設計費用のみで考えたとき、設計事務所の場合、建築費用の10~15%、ハウスメーカーや工務店の場合は3~5パーセントと書かれていることがあります。しかし工務店、ハウスメーカーの場合は、建築費用(本体費用、諸経費)に直接組み込まれていることが多いです。また、この場合の2~5%とは外部に依頼する確認申請の費用ということになるでしょう。

大手のハウスメーカーであれば、顧客のニーズに応じたいくつかの住宅シリーズ(モデルプラン)が既にあります。規格化されたパーツ(アイテム)を組み合わせてひとつの「家」をつくることに対し、設計事務所の場合は一から(真っ白な図面から)家づくりを考えます。基本の設計自体が違うわけです。お洋服で考えればオートクチュールと既製品の違いですね。

また、設計事務所(建築家)の場合、設計者は建築主である「施主」のための図面を描きます。それにたいして、ハウスメーカーは既存のモデルプランが既にあります。(前述したように規格化されたものを選び、組み合わせていく)これは工務店の場合も同じで、施工側寄りの図面になりがちです。ここが大きな違いです。「家を建てる」場合、本来は建築主である「施主のための図面」であるべきです。平面プランの間取りや配置といった、ただ単純な平面計画ではなく、空間を常に立体で考え、細部の収まり、ディテールまで考えます。当然、実施設計の作業量も違うわけです。

ハウスメーカーさんにはそれぞれのノウハウがあり、数千戸と似たシリーズの住宅を建てることに実績があります。地域密着型の工務店さんの場合も、似通った住宅をローコストで建てることは可能かもしれません。但し、それらは施工側寄りの図面で想いのままにいかないこともあるでしょう。言い方は好ましくないですが、面倒な作業は嫌がられるかもしれませんし施主の意向は伝わりにくいかもしれません。

設計事務所に依頼される場合、建築家(設計者)は想定された予算の中で施主の代理となって、建築主のご意向を最大限反映できるよう努めます。この「図面の違い」が大きいです。

工事契約「融通が利く」?

工務店、ハウスメーカーで家を建てる場合、総合で一社で契約するのに対し、設計事務所の場合は施工契約と設計契約が別になります。「設計」は設計事務所と契約し、その後工事業者が決まった後、工事業者と工事の契約をします。

以前、どなたかのブログを拝見し、その方は投資用の一棟マンションを建築計画されていました。土地売買の不動産業者の紹介工務店さんと契約され、その工務店の方に、うちは「設計・施工」なので融通が利く、安いと言われ、その契約の支払い条件(時期)がとんでもない内容だったのでびっくりしたことがあります。

ここでご注意いただきたいのが「設計・施工」の契約であれば融通が利く という考え方です。これは、「融通が利く」のは建築を依頼する施主、ではなく残念ながら工事業者側です。

当然、「施工寄りの設計」であればメーカーや業者にとっては楽ですし、ごまかしが利きます。手抜きをしていても施主にはわかりません。融通が利く、というのは一見勘違いしてしまいますが、業者側にとって都合が良いわけです。契約の際は、支払い条件なども注意しなければいけません。

vol.3 でも述べましたが、設計事務所の場合は工事業者を選定する際、設計者は施主の利益を守らなければいけません。最終的に、コスト(予算)ディテール(デザイン)のバランスを設計者は常に考えるわけです。

次回、「家づくり」最終回で工事着工から竣工まで書いていこうと思います。

新築計画を検討する際、建築家に直接お願いしてみたい!と思われる方は多くいらっしゃるかもしれませんが、実際には設計事務所の選び方って難しいですし少し敷居が高いイメージもありますね!

昨年ご縁があり知り合った女性。もう廃刊された雑誌ですが、長年ファンだった「流行通信」の編集者だったことで盛り上がったのですが、…彼女が25年以上前に建てた住宅。当時、2世帯住宅を検討していた際、雑誌で見つけた建築家に直接電話をし、設計をお願いしたそうです。(ML モダンリビング ラグジュアリーな住宅誌!)現在ももちろんそちらにお住まいですが、20数年たった今でも大好きな家で「住めば住むほど好きになる家」だそうです。「好き」であり続けるってすごいですし、「住めば住むほど好き」は名言で、その家の設計者にとっては本望だと思います。

一生に一度のことかもしれない「家づくり」、建築家と2人3脚で造ることが出来ればとても幸せなことだと思います。そして家づくりにするにあたって、建築主と建築家は「同じ気持ちになること」がとても大切だと私は思います。

 

 

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