「家を建てる」vol.3 基本設計~実施設計

住宅設計 マイホーム~建築家×施主

前回の「家を建てる」自由設計とは~のつづき。敷地が決まれば①「建築」には設計者が必要であること ②工務店、ハウスメーカー、設計事務所、それぞれに特徴があること③計画地の確認(近隣環境、法的なヴォリュームなど)が必要なことなど、おはなししました。

設計事務所では、建築家(設計者)は頭の中では常に立体(3D)をイメージし、平面をつくる際には立体、そして立面も同時に浮かべながらお話を聞き、施主の意向を反映したプランをご提案します。

また、最初に予算をお伺いしている場合、建築家は予算内で建てられる図面を描かなければいけません。

基本設計・建築家×施主

設計契約後、ここからは具体的に進めていく形になります。(この時点で設計者は概算見積りを出しています。)

ご提案させていただいた図面にて間取りの変更や仕様の確認を施主と一緒に行いつつ、イメージを擦り合わせていきます。

土地のボーリング調査や近隣調査、図面においては詳細な仕様やおさまりを施主と打ち合わせし、それと並行し法令や条例に基づいて図面を作成していきます。

造り付け家具を必要とされる場合、造作家具を含めて設計をし、図面、そして計画の概要をとりまとめます。

施主とつくりあげていく中で、プレゼン時とは間取りや仕様が変更になることもあれば、施主の想いや理想がどんどん膨らんでいく場合もあります(笑)

ただ、住宅であらかじめ予算が決まっている場合、設計者は予算を守らなければなりません。コストオーバーする場合は仕様を検討したり再構築していく必要があります。

先にも述べましたが、設計者は予算を守る・予算管理することも大事な責務。基本設計の段階で、予算を改めて確認し、計画を進めていく中で調整します。

住宅に限らずですが、予算を確認したうえで施主の意向や希望をリアリゼーションしていく。

予算調整(コスト管理)、工程の確認、このあとに出てくる工事見積りのチェックは非常に大事な責務です。

実施設計~建築確認申請

基本設計でプランが確定すれば、実施設計に入ります。

実施設計は、図面に伴って施工するために必要な図面をつくる段階です。

建築物は、平面のデータのみで施工されるわけではなく、基本設計でつくられた図面のほか、各部の詳細図、展開図、建具表、断面詳細図、部分詳細図、仕様書 構造図などが必要になります。

この実施設計をもとに、建築主と工事業者は工事請負契約を交わし、工事内容と工事費を確定するわけです。

実施設計とほぼ並行で進めるのが、建築確認申請です。前回、建築確認申請については詳細を書いたので省きますが、この申請により「許可を得た図面」にて建築が可能になります。

確認申請は、事前審査受付→協議・指摘是正→本申請→済証受理という形で進められ、申請受理までは規模の大きさによりますが、1~2か月ほど要するのでその間に実施設計を進めていくわけです。

注)木造4号建築物の場合は、1週間ほどでおりると思います。

基本設計から実施設計の間(建築確認申請が下りるまで)はプロジェクトの大きさによりけりですが、3か月ほど要するでしょう。

注)一般的なおはなしで、宅地造成、開発がかかる場合には行政とのやり取りにも時間がかかるので期間は参考までに。

工事請負業者(施工会社)の見積もり!

実施設計で作成した設計図書をもとに工事業者に見積り依頼します。

施主と協議の上、いくつかの候補の中から2~3の業者に見積り依頼をし、このとき設計者は工事業者から出てきた見積りを細かく確認します。

→出てきた見積りに対して、コスト調整の検討、仕様の確認・再検討などを行います。

工事見積りの確認は非常に大事な責務です。単に安さを競うためだけの見積りチェックではなく、設計者は各業者提出の工事見積りを、図面に対して「漏れ」がないかの確認、正当性を含めチェックしていきます。

最終的には請負側の実績、技術面を考慮し、施主代理となって検討し、施主と相談の上で業者の選定をします。

→ここで施主と工事請負業者は契約を交わします。

いよいよ工事着工!! 工事着工の前に…。気になる設計報酬のおはなし、実施設計の内容についてもうすこし詳しく…。次回お話しできればと思います。

アンビルトの女王?【UNBUILT】ザハ・ハディッド

~ちょっと余談~

設計者は実現する建築を提案するべきだとわたしは思う。コンペやプロポーザルで競う場合、一見素晴らしいデザイン、ユニークなアイデアであっても、実現されないモノは意味をなさない。

建築はオブジェではないので、構造面であったり実際には環境や周囲との調和、予算面といろいろ考えなければならない。

コンペやプロポーザルで実現されないものが選ばれてしまった場合、主催者側のイベントとしてお祭りのように盛り上がって終わってしまう…。そういえば記憶に新しい。

故ザハ・ハディッド氏。国際コンペによる「新国立競技場」~オリンピックスタジアム~のザハ氏の提案は幻に終わった。のちに物議をかもした「構造面」「膨大な工事予算オーバー」。

審査の段階で、質疑が上がったのであれば明確にされないまま採用決定されたのか、といまだ疑問に思うけれど…。

白紙撤回となった当初の新国立競技場にかかった費用は、約68億。そのうち14億は、デザイン監修をしたザハ・ハディッド氏の事務所に支払いがされた。

ザハ氏の設計はこれまで実現されなかったものが多いのだ。

「アンビルトの女王」とも言われているザハ氏…。華やかで極めて斬新、かつユニークなザハ氏の作品。

一度は彼女の設計した作品をリアルに見てみたいな、とも思う。

 

 

 

 

 

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