「家を建てる」 vol.5 理想の住宅に住む

すこし間が空いてしまいましたが「家を建てる」vol.4 の続きを書きたいと思います。前回の記事はこちら Vol.4 施主のための図面

基本計画を考えるうえで大切なこと、住宅設計を依頼される際の注意点など書いてきました。① はじめに明確なヴィジョンや理想が出せなくても、打ち合わせをする段階で明確になっていくこともあります。② お付き合いさせていただく期間は長いです。相性の合う設計者さん、想いに寄り添ってくれる設計者さんと出逢えれば理想的です。具現化していくには設計者さんが直接、話を聞いてくれることがとても大切です。

住宅・家づくりに対する明確なヴィジョンや想いがある方は、わたしは「設計事務所」(建築家)に依頼されることをおススメします。設計事務所では一から住宅づくりについて考えます。ハウスメーカーや工務店では家づくりの担当は営業さんですが、設計事務所では実際に設計する設計者(建築家)が基本は常に接することになり、気持ちの「ズレ」がおきにくいからです。この違いはとても大きいと思います。(それが一つの理由)もう一つは、施工する上で、設計者は施主目線で図面を検討、ディテールを決定していくからです。*ハウスメーカー or工務店 or設計事務所(デザイナー)の違いは Vol.2 自由設計とは で書いています。

地鎮祭~工事着手

いよいよ工事が始まるその前に、新築工事では大切な儀式を行います。地鎮祭といってその土地の氏神様を鎮め、工事の無事を祈りその土地を利用させてもらうことへの許しを得る祀りです。神主様がご説明、進行してくださいます。この地鎮祭はお施主様、工事請負業者、設計事務所(設計者)が参加し、儀式を行います。この地鎮祭を行う前後にご近所様へのご挨拶まわりをお施主様の方でされても良いかと思います。

地鎮祭を終えるといよいよ工事着手です。実際にご自身が住まれる住宅ですから、ぜひ足を運んで見に行かれることをおすすめします。見に行かれる頻度ですが、設計事務所に依頼されている場合は設計者さんに、工務店に依頼されている方は現場の担当者さんに都合をお聞きするのも良いでしょう。

上棟式

木造住宅で家の骨組みを組んだ後、屋根のいちばん高い位置に木材(棟木)を組むこと(昔は三角屋根の最上部に棟木(むなぎ)が入ること)を棟上げと言います。RCの場合、いちばん上の屋根のスラブが入ることをいいます。コンクリートの場合は梁とスラブを同時に打つので、いちばん上の屋根が入ることをいいます。棟上げの日に行われる儀式が上棟式です。設計者、工事業者関係者などが集まります。今後の安全な建築、建物の完成を願う儀式で、工事を進めてくれている職人さんたちを労い、施主様が主催する行事になります。(主催は施主ですが、進行は工事業者が進めてくれますのでご安心を。)上棟式は最近はされない方も多いですが、家づくりはそう何度も経験することではないので、記念に開催されると良い思い出になるかもしれませんね。式典はされなくともお祝儀、お弁当やお酒の差し入れなどをされる場合もあります。

内装工事~完成へ向けて

施主に現場に足を運ぶことを勧める一番の理由は、下地の段階で変更が利くこともあるからです。設計事務所の仕事としては内装工事が始まると施工図のチェック、詳細の施工図の納まりを検討していきます。設計者としても机上で描いたものすべてが施主にとってベストとは限らないので、空間が実際にできあがるとイメージを確認し、詳細を決定しやすい。木造の場合もRCの場合も同じです。施主にとっても3次元の空間が実際出来上がると、想像していたイメージとは違って感じることがあるかもしれません。やっぱりこうしたい、この部分はこう変えたい、など下地の段階であれば設計者と相談しながら検討、変更できることもあります。躯体はそのままで検討していきます。その空間に入ることによって光の加減を確認したり、細かいディテールを決定していきます。

家づくりの際、大手ハウスメーカーに注文住宅を依頼した私の友人。いちばん残念だったことは、新築計画でもっとも重要視した部分(ご本人たちにとって…)が実際に施工されなかったことです。打ち合わせでは、何度も念押しし、希望を伝えていたのに…とのこと。施工は図面のとおり施工されているので間違いではない。ハウスメーカーの場合は、納まりが標準仕様なので施工業者は図面どおりに施工したのでしょう。確認申請図面を見ても、本人たちはわからないし、(1/100図面を見ても確認しようがないです…) 担当者に力はなく、(当然、その時点で施工済みですし)気づいたときには時すでに遅し、だったそうです。いちばん大事な部分だったのになぜ組み込まれていなかったのか、、

このような事態を防ぐには、シンプルですが最終図面で再度確認をする、しかありません。なかなかイレギュラーな内容かとは思いますが、あってはならないことです。

機能性や住み心地、デザイン性ももちろん大切ですが、家づくりで大切なことはそこで生活する人たちのライフスタイル、そして生活する上での動線やリズムに合っていること。そして完成した時が100点満点ではなく、「変化していけること」、設計者の技量によりますが「余裕を持って建てる」ことが大切です。

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