スターハウスのコンペ

10月29日に、UR都市機構が主催する『URまちの暮らしコンペティション』の最終審査プレゼンテーションが実施され、リアルタイムで視聴することが出来た。

コンペのテーマは、「スターハウスの『未来にある暮らし』」

団地としては初めて登録有形文化財に登録され、旧赤羽台団地に保存することになったスターハウス。

今回のテーマは、歴史あるスターハウスをリノベーションし、新しく建て替わった周囲のヌーヴェル赤羽台団地との関わり、団地再生への提言含め『これからの暮らし方の本質』を探究する新しいアイディアや提案を求めるものだった。『スターハウス住戸での暮らし方』を提案に含むことが条件ではあるが提案内容は自由だった。

なんと300以上の応募があったようだ。

提案の対象範囲は、「住戸1戸」「ワンフロア」「1棟」「2棟」「3棟全て」「ヌーヴェル赤羽台団地や周辺地域を含める」自由に設定が出来た。

私も「ワンフロア」の提案で応募した。このコンペを知ったときはすでに6月末。

7月も8月も大型案件が重なり、全員が忙しく休みもなかった。設計は誰も手が空いておらず、おまけに最終月の8月は東京に半分しかいなかった。(〆切は8/31だった。)

弊社一級建築士の吉田になんとか半日だけ時間を作ってもらい平面のプランに協力してもらった。このコンペはわたしにとって興味深く、時間がなくても提案してみたかった。

コンセプトはある程度決まっていたので、吉田が作った平面プランを元に、グラフィック担当のスタッフと遠方から何度もやり取りし、訂正を重ね、平面と立体をつくった。

結果は力及ばずだったけれど、最終審査に残った方達の発表を聞き勉強になったし、『このコンペにかける想い』も再認識した。

最終審査は6組。その6組の方のプレゼンテーションと質疑応答がすべて終わった後に最終審議が非公開で行われ、そのあと審査結果が出るというものだった。

最終プレゼンテーション

「Health-chi」外国人3人組の方で「健康!」をテーマにスターハウスを運動施設として活用するという提案があった。『健康』について、流暢な日本語で熱くプレゼンテーションし、そのテーマは十分に伝わるものだった。

主要動線に、運動空間を追加し「健康」をテーマにシンボルスペースとして発信するのはユニークでおもしろかった。

10分間の質疑応答では、審査員の質問に対し伝えたい言葉の日本語がうまく見つからず、苦戦する姿も見られた。(ドキドキした..。)

彼らは、見事「優秀賞」に残っている。

もう一つ、優秀賞に残った作品のテーマは、『シアター42』

「住空間をテーマとした劇場!」それは(既存の住まいを調査し知見を発見するもの)、(既存環境にはない新しい知見を作り出すもの)、『表現者による42号棟を舞台とした表現』を実験的に行う、というものだった。彼はプレゼンの中で面白いことを発言していた。「見せること」と「生きること」を同時に展開する。これは、シアター42が劇場となり「見せる(魅せる?)」「生きる」を同時に発信の場とすること、1階2階は吹き抜け、3階から5階は宿泊施設とする案もおもしろかった。(控え室 音響設備)

実際に外国にはこのような施設が幾つかあるのかもしれない。私は宿泊したことないが…

説明が明確でユニーク、一見実現が難しそうなプランに思えたが、ものすごく深いところまで構想を練って考えられている安易なプランではないことが伝わった。

建築的に見ると、2階のスラブを抜くことは安易ではないと考えるが、コンセプトとしてワクワクするものであり上手に考えられていた。(いや、こんなところに行ってみたい!)と思わせた。

この2作品はとても良かったけど、やっぱり最優秀賞の『大きなケヤキと囲い庭』は圧倒的に良かった。このプランは、スターハウスの建物の脇に立つ『大きなケヤキ』を住戸から平等に愛でることのできるプラン。(その空間を囲い庭としたプライベートな空間をつくる)要は3住戸を均等に2住戸にしたプラン。(これは思いつかなかった。)

スターハウスとして計画された植栽をうまく活用したプランだと思った。団地は、何十年も先を想定し計画して植樹されている、その空間を生かすプランだった。

東側と西側で、朝陽と西日で差はあるものの住戸の条件はほぼ均等なプラン。そして、スターハウスの一番のデメリット(住戸として)を解消したプランだった。

隣接した住戸同士の窓に対して目線が合わないよう平面プランが考えられ、問題点が解消されたプランだった。

スターハウスの最大メリットの、陽当たりと気持ちの良い風通しも平等に持てる住戸プラン。建築と環境の関係性が考えられ、また設計者の『優しさ』を感じるプランで、私はこのプランがとても好きになりスターハウスに住みたくなった!!

また、階段部分は界壁をガラスにすることにより、建物内の階段の暗さを軽減し、明るい光を取り入れることが可能なプランになっていた。

スターハウスを考える。

団地は、日本の高度成長期以降にUR都市機構(旧 住宅公団)によって建設され、またその団地自体が街をつくってきた。団地で育った世代の方も多いと思う。

当時の良さを生かしつつ『現代の暮らし』に合ったリノベーションが施され「皆に愛されるスターハウス」が残れば良いなぁ、と思う。

現地に行ったとき、赤羽駅から歩きながら「どんな人が集まるかな」「どんな人たちが住むだろう」と想像し、広い全体の敷地では1時間~2時間歩きその空間の環境の良さや敷地の広さを体感した。

(ヌーヴェル赤羽台は全面建て替えされている)新しいヌーヴェルと比べ、スターハウスから何が発信できるか考えた。

高齢者の施設がひとつあるものの、店舗や住民がくつろぐカフェや集会所みたいなものはないように思えた。

なので、スターハウスがそのような場になると良いと思った。また、スターハウス側にはファミリー層と単身が混在することも可能であると強く感じた。どちらか一方に偏ることは危険だと考え、『実現すること』を念頭に、かなり「現実的なプラン」を考えた。

スターハウスの3住戸を2住戸にし広めのワンルームと80平米弱のファミリー層向けのプランを考えた。

ファミリー層は2住戸をつなげた部分をユーティリティに。子供たちがリビングダイニングとベッドルームのユーティリティースペースで遊んだりできるスペース、

コロナ禍、「働き方の変化」も視野に入れ、大人が仕事できるワークスペースも考えた。また改めて、平面プランはこちらに掲載したいと思う。

3棟のうち、2棟は住居棟、1棟をワーク棟としワーク棟の1階に人が集まれるスペースとしてオープンなカフェをつくり、広いデッキを設置し大きく開けた空間を考えた。

全体的な建物の構想、マテリアルまでは時間が足りずもう少し余裕があれば、とそして現実的すぎるプランでなく思い切ってもっと夢のあるプランにすれば良かったとも思う。

スターハウスがこの先、新しいシンボルタワーのような存在になることを願って。

『URまちの暮らしコンペティション』の結果や最終審査の様子は『新建築』の2022年1月号に掲載されるので再度じっくり見るのを楽しみにしている。

 

 

 

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